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第20回食品加工雑学講座

皆さんこんにちは!

合同会社Alba、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~高品質~

 

高品質=規格適合 × 安全 × 体験価値 × 安定供給
この4要素を仕組みで回し、再現性高く出荷し続けることが食品加工における“本当の品質”です。本稿は、現場でそのまま使える設計思想・運用・評価・改善の型をまとめた実務ガイドです。


1. 高品質の設計思想:上流で決まる

  • 顧客品質(QFD):ターゲット顧客の「おいしさ条件(食感/香り/見た目/食べやすさ)」を設計要件(固形分、粒度、粘度、含気率、色差ΔE など)へ翻訳。

  • 製造容易性(DFC):狙い値を“出せる設備と工程”に落とす(撹拌剪断、二次加熱の熱収支、充填時の含気管理など)。

  • 衛生設計:分解・洗浄・排水・死角ゼロ。汚れにくい形にすることが最安の品質保証。

  • 原料戦略:官能の寄与度が高い原料は複数サプライ+規格の上限下限を狭く。COAだけでなく入荷官能・迅速分析でブレを抑える。


2. 規格・標準:狙い値は“出る数値”で

  • 規格の三層

    1. 製品規格(微生物・理化学・アレルゲン・官能)

    2. 工程規格(温度・時間・pH・Brix・含水率・粘度)

    3. 設備規格(回転数、流量、差圧、メンブレンΔP 等)

  • 狙い値の置き方:ばらつきσを見て管理幅の中心から安全側に寄せる(Cp/Cpkの観点)。日替わり原料にはロバスト条件(温度×時間の窓)を設定。

  • MSA(計測システム解析):粘度/水分/色差/重量計の再現性・直線性を年次確認。官能は基準見本+パネル訓練で“人の測定器化”。


3. 安全と高品質の交点:HACCPを“おいしさ”まで拡張

  • CCP(例:中心温度、冷却プロファイル、金属検出/X線感度)

  • OPRP(例:pH・a_w・塩分での増殖抑制)

  • 官能CCPという考え方:分離・乳化・焦げ・えぐみ・離水など“おいしさの致命傷”を目視/触感/比重で即時判定→是正基準を明文化。


4. 工程安定化:SPCで“波”を読む

  • 重要特性のSPC:粘度、含気率、充填重量、シール強度、塩度などをXbar-R管理図で日々監視。

  • 狙い:Cpk ≥ 1.33を目標。逸脱時は5Why+再発防止を同日中にクローズ。

  • DOE(実験計画):新原料や増産時は2^k要因で最適条件を素早く確立(例:撹拌回転×滞留時間×ジャケット温度)。


5. 官能品質の作り込み:数値化でブレを潰す

  • JARスケール(ちょうど良さ)で甘味・酸味・塩味・食感を可視化。

  • トライアングルテストで原料変更の“気づかれ度”を判定。

  • 基準見本を冷凍/乾燥保存して日々の立ち上げ比較

  • ネガ官能辞書(青臭い/蒸れ臭/金属臭/油焼け/ざらつき)を作り、検品語彙を統一


6. 包装・冷鎖・賞味期限:最後まで品質を届ける

  • パッケージ:OTR/WVTR、シール強度、ピンホール率を監視。エッジ部補強で落下・角潰れ対策。

  • 冷鎖:搬送の温度ログを可視化(閾値逸脱=自動アラート)。

  • 賞味期限設定:実使用条件での実時間試験+加速試験を併用。品質劣化の**主因(酸化/離水/退色/香気飛び)**に沿った判定指標を選定。


7. サプライヤー品質:原料ブレは“入口で圧縮”

  • 承認/監査:規格・工程・衛生・トレーサビリティ・CAPAの点数化

  • 受入検査:温度・外観・官能・簡易理化学(Brix/pH/水分)をロットごと

  • 二者間改善:歩留まり×官能×歩留コストの共有KPIを設定(例:原料サイズ分布の最適化で破砕ロス▲)。


8. 品質コスト(COPQ):“不良の原価”を見える化

  • 内在不良(調整・再加工・歩留まり低下)

  • 外部不良(返品・値引き・回収・機会損失)

  • 測定・予防(校正、教育、監査、設計見直し)
    → 月次でCOPQ/売上をモニタし、“予防比率”を高める投資へシフト。


9. KPIダッシュボード(例)

  • 不良率(PPM/万個当たり)

  • Cpk(重要特性ごと)

  • 官能適合率(ロット判定)

  • 温度逸脱回数(製造/保管/配送)

  • クレーム率・再発率

  • リードタイム(立ち上げ~安定)

  • 教育完了率(OJT/官能パネル)

  • COPQ比率
    → 週次は現場ボード、月次は経営レビューで原因×対策×期限まで合意。


10. デジタル活用:紙から“気づき”へ

  • バッチ記録の電子化:温度・重量・粘度・金検/X線を自動収集

  • 閾値アラート:外れ値検知でライン停止までの時間短縮

  • トレーサビリティ:原料→中間→最終→出荷のロット紐づけを3クリックで追跡。

  • 標準動画/QR:立ち上げ・洗浄・切替の動画手順で“人依存”を解消。


11. チェックリスト

11-1. 高品質チェックリスト(出荷前)

  • ☐ 微生物・理化学規格OK

  • ☐ 官能(色/香/味/食感)合格、基準見本と一致

  • ☐ 包装:外観・シール・印字良好、ピンホールなし

  • ☐ アレルゲン表示・ロット・期限のダブルチェック

  • ☐ 温度記録/金検・X線ログ保存

  • ☐ 是正処置の完了/承認記録あり

11-2. 8D問題解決シート(要約)

  • D1チーム / D2問題定義 / D3暫定処置 / D4原因特定 / D5恒久対策 / D6再発防止 / D7学習展開 / D8祝う(定着)

11-3. 30-60-90日 改善ロードマップ

  • 30日:重要特性の可視化(SPC開始)、基準見本の整備、官能パネル訓練

  • 60日:Cpk<1.33の特性にDOE実施、包装シール強度の再設定、温度ログ自動化

  • 90日:COPQを月次化、サプライヤー点数化と共同改善、賞味期限妥当性の再検証


12. ケーススタディ

冷蔵デザート工場

  • 課題:離水と食感ブレでクレーム率0.45%

  • 施策:ゲル化温度の狙い値再設定、充填時の含気を±0.5%にSPC管理、冷却曲線を2段冷却

  • 結果:官能適合率+9pt、クレーム率0.12%、歩留まり+1.8%、COPQ▲28%


高品質は“仕組み×人”で回し続ける

  • 設計でブレない条件を決め、計測で見える化し、標準作業で再現。

  • 官能と安全を同じ土俵で管理し、SPC×DOE×MSAで科学的に改善。

  • ダッシュボードとレビューで経営と現場を接続し、COPQを下げ続ける

 

 

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